夜に依る
2004年5月11日 夜、私を不安にし脅かすのはいつでも人、その存在と急に自らを照らすひかりである。夜、人は暗がりで輪郭を失っているのをいいことに内の何某かを闇に融かしだす。意識しない、だがする。暗がりは濃ければ濃いに越したことはなく、そこが内の好餌となる。ひかりの届かぬ闇にその身を置くとき、闇は確かに束の間はねを伸ばした自分そのものである。そのためか、人が私をどうしようもなく不安にする。なにより手間なのだ、暗がりに思う儘融けたそれを、人が現れるたび慌てて回収しなければならないというのは。当然向うより素早くそれは回収されなければならぬし、元々それはその類である。もしそれが向うの目に付く前に回収し切れなかったなどという場合、暗がりに融けたむこうのそれは容赦もなく私のそれがいるべき場に侵蝕を開始しないとも、向うが多少なりとも闇雲に好奇心を振り回しそれが恐ろしくも何某かのアビリティであるとでも妄信甚だしき誰某であったなどという場合有うべからざることとも言い切れない。そしてひかりは私を脅かす。照らされる瞬間、私はそれがきちんと見に納まっているかどうか気が気でならない。影に視線を走らせる。時々私はそれを見るのか。何者もそれを否定はできない。どうしてひかりによってうまれた影の右足が私のそれより長くないなどといえるのか。 nex
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