青空

2004年6月11日
朝焼けがいつも貧しいのは
そのあたらしさによるものだ

夕焼けは欲望を吸い込んで
はちきれんばかりに膨らんでいる

いつも君がやってくるのは夜だ

昼間寝て 夜起きているのにも
なれてきた

僕はいつも 日の出を見送る
しかしそれは僕の朝だ

そして僕には倦怠の昼は無い

夕暮れとともに目をこすりながら
体を引きずり起こす頃には
悲しみがしこりとなり
肋骨が波打ちながら
心臓のざわめきを鎮めようと四苦八苦している

 君は落ち着いて日を沈め
 (慣れた手つきで いつもどうりに)
 夜を迎えるのだ
(慣れた振る舞いで いつもどうりに)

影を見失った焦りから手をすべらせ
ボ−ルに入った溶き卵を床にこぼす

フライパンは熱せられた大地だ
煙が天に立ち昇っていく 
(黒い雲 焦げ臭い 雨の町 スプリンクラーは要らない)
つかみ損ねた右手の親指を落とすと
ジュワァーと音をたてバターの良い匂いが広がった

そうして
匂いに誘われ 
君は僕のもとにやってくる

ゆっくりと食事を楽しむのが楽しいのも君だからこそ


胃は満たされた 悦びは満ちてやがて去りゆく
そして
今日も青白い光に溶かされながら帰っていく君を見送る

空疎な風呂場でシャワーを浴びていると
右手の親指が火傷で はれあがっている

青空の予感

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